皮様嚢腫 デルモイドシスト(または 奇形腫 テラトーマ)
ヒトの発生の過程で、増殖した胚細胞は外、中、内の3種類(胚葉と呼びます)に役割分担されて、分布移動していきます。皮様嚢腫は、2胚葉あるいは3胚葉の細胞を含む良性腫瘍です。
主として卵巣などの性腺に生じますが、発生の過程で卵黄嚢から性腺に移動する途中で迷子になった胚細胞に由来するしこりです。
ヒトの卵巣に生ずるものはほとんどが良性の成熟嚢胞性奇形腫で、外胚葉成分、特に皮膚と皮膚付属器(毛髪、皮脂腺、汗腺)が大部分を占めることから「皮様嚢腫」(ひようのうしゅ、dermoid cyst)とも呼ばれます。顔面では上眼瞼外側に発生することが多いです。